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2000年から2010年まで(いわゆるゼロ年代)に発表された「批評」を元に、その論点とされるものの「軸」と「方法」に焦点をあて、ゼロ年代全体の議論を再構成しようとした本。「軸」は「情報空間」と「物理空間=生活環境空間」であり、「方法」はそれぞれの…
簡単に要約すると、 現代では、かつての「科学」や「経済」のような一元的な価値観は成立しない(それらがもたらすとされた「発展」というプラスイメージが「限りある資源」という現代人なら誰もが持っている閉塞感によって否定されるため) かわって、個人…
2冊とも2005年前後に出版されたマンガ評論本。『マンガの深読み、大人読み』の方は、後の夏目房之介・漫画学の萌芽が多く含まており、全体的には幅の広い話題を扱っているが、第2部「『あしたのジョー』&『巨人の星』徹底分析」が間違いなく最大の読みど…
主に2000年代の村上春樹作品(日本においては2000年『神の子どもたちはみな踊る』から2009年『1Q84』までと、海外における翻訳作品の受容のされ方)に焦点を絞った評論集。村上春樹についてはほぼ語り尽くされた感もあるが、'00年代云々より、評者・インタビ…
前著『ポスト・ムラカミの日本文学』と同様、日本文学を題材に同時代の日本文化を描写しようとしたもの。前著に引き続き、現在の日本文学(=日本文化)は「アメリカ文化」の影響下にあり、「過去の日本文化」からは断絶している、という視点を継続・発展さ…
現在の日本文学は、過去の「文壇」とは完全に断絶したものとなっており、それは 70年代末の二人のムラカミ=「村上春樹」「村上龍」の登場に始まり、80年代の日本文化において決定的なものになったのだ、ということを示した本。現在の日本文学(だけでなく日…
テクストから遠く離れて作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/01/17メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (25件) を見る 「作者の死」をめぐる、バルト、デリダ、フーコーのテキスト論を著者なりに整理しながら、著者自身の批…
村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ作者: 三浦雅士出版社/メーカー: 新書館発売日: 2003/07/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (24件) を見る 最近の日本の文学には、「村上春樹の小説」と同様、「柴田元幸の翻訳」が大…
「村上春樹」と彼が描いた「1980年代の日本」をめぐって、村上春樹と同世代の批評家3人が交わした鼎談が収録されている。この鼎談自体は、1990年(昭和天皇崩御とベルリンの壁崩壊の1989年と、湾岸戦争の1991年の合間)に行われた。ここで3人が「村上春樹…
1985年に刊行された、加藤典洋の第1評論集。江藤淳が田中康夫『なんとなく、クリスタル』を誉め、村上龍『限りなく透明に近いブルー』を全面否定した事実から始まる「アメリカの影」、'60年代〜'80年代の東京郊外を舞台にした小説を論じた「崩壊と受苦」、…
ノーベル文学賞も受賞しているアメリカの作家=スタインベックの最後の作品。小説ではなく、アメリカをテーマとしたエッセイ集である。原著は1966年、訳書(サイマル出版会版)は1969年の発行で、スタインベックは1968年に死去している。 本書は全9章から成…
『解析概論』で有名な著者の一般向け数学書。著者は、戦前に世界でも認められる最前線の研究を成し遂げつつも、『解析概論』のような今でも読み継がれる(さすがに現在では「古典」という意味合いが強いのは仕方が無いが)大学教育レベルの良書や、『数学小…
「今度の夏は、みんなで半ズボンをはこう」と主張する本。というと、何かの冗談みたいだが、逆に「なぜ日本の成人男性は夏に半ズボンをはかないのか」という問いを発することから、日本の戦後以降の社会において「大人であること」「子供であること」「自信…
『新教養主義宣言』に続く、2冊目のエッセイ・評論集。著者のホームページなど、webで読める文章も多く収録されているが、「本」としては若干まとまりに欠けるので、もう少し特定のテーマで文章がたまるまで、単行本化は待ったほうが良かったかもしれない(…
ブックガイドのようなタイトルだが、自分の読書歴を同時代の歴史と重ねて記述した本。著者は `58年生まれなので、著者の十代末(70年代後半)以降の日本の出版、思想状況と「神保町」の変遷が見てとれる。 私は `64年生まれなので、言われれば当時は確かにそ…
現代の若者のいる状況は「ポストモダン(大きな物語の消失後の世界)」そのものであるということを、「動物化」という言葉をキャッチに使って説明した本。「動物化」というのは、多少物議をかもす言葉だが、「社会化」の対概念と考えるとしっくりくる。30代…
本来は『動物化するポストモダン』と対になる本。東浩紀の思考のベースには、「二重性」(デビュー論文には「コンスタティブ/パフォーマティブ」という対概念があった)があるような気がするが、例えば「公/私」「大きな物語/小さな物語」という対で言えば…
副題にある通り、著者がイサム・ノグチ(日系アメリカ人アーティスト。作品等はここに詳しい:http://www.noguchi.org/)に見いだしたものは、「越境者」である。明治という時代に混血の私生児として生まれた彼は、自分のアイデンティティの確立を求め続けた…
わずか10年ほど前のことだが、アフリカのルワンダで「100万人」の人々が一方的に殺戮されるという事件が起こった。著者はその事件の1年後に現地に赴き、詳細な報告を書いているが、著者を動かしているのは「何故このような悲劇が起こったか」ではなく、「何…
ちょっと大げさに見えるタイトルがこの本のすべてを表している。著者が「中田久美」へのインタビューを通して見たものは、「天才」と「セッター(=中田久美にとってのバレーボール)」と「タクティクス(中田久美のバレーに対する方法)」だったのだろう。 …