ウォーレン・ジヴォン "The Wind"

  1. '70年代からコンスタントにアルバムを発表してきたアーティストのラストアルバム。ウォーレン・ジヴォンは昨年9月に肺癌にかかっていることを公表していたが、今年9月7日に逝去。ちなみに本作がリリースされたのは8月26日である。
  2. 個人的には、実質デビュー作の「Warren Zevon(邦題:さすらい)」からの初期3作が好きで学生時代からよく聴いていた(今でもたまに聴く)。ただし、それ以降の作品には疎遠で、今回はそれから20年以上後の作品を聴いたことになるが、「The Wind」は、私の好きなウォーレン・ジヴォンそのままだった。
  3. ウォーレン・ジヴォンは、自身の病を公表後、全米の人気番組「デイヴィッド・レターマン・ショー」に出演する。そのインタビューの中で語った「Enjoy every sandwich」という台詞は瞬く間に有名なものとなった。彼自身の言葉は、「(I) savor my time and enjoy every sandwich」というものだったらしい。「(余命がいくらもないことを知らされてからは)自分の時間を味わえるようになった。サンドイッチも一口一口楽しめるよ」というような意味だろう。レターマンとウォーレン・ジヴォンは長年の友人で、この番組も通常とは異なり、ウォーレン・ジヴォン一人に焦点を当てる特別編成で臨んでいたが、レターマンはこの番組を「Enjoy every sandwich, Warren」という言葉で締めくくっている。サンドイッチだけでなく、このアルバムに収められたすべての曲の、作曲、歌、演奏を、楽しんでくれていたことを願う。