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仲正昌樹「加藤典洋におけると」(雑誌「情況」 2003年11月号)

高橋哲哉との「敗戦後論」をめぐる論争を手がかりに、加藤典洋のが批判されている。この論争における加藤の主張は次のようなものだ。「敗戦」以降、それまでの日本の「共同体」は崩壊したしかし多くの日本人は、いまだにその崩壊した「共同体」に依拠した言…

季刊「理戦:特集リチャード・ローティ」74(2003年秋号)

特集の中から、 野家啓一:アブノーマル・フィロソフィーへの挑戦 北田暁大:「徴候」としてのリチャード・ローティ 仲正昌樹:「民主」と「愛国」のプラグマティズム を読みました。最初の2つは談話を文書化したもののようです。 「野家啓一:アブノーマル…

北田暁大「嗤う日本のナショナリズム」(雑誌「世界」2003年11月号)

岩波の雑誌に「2ちゃんねる」論が載っているらしい、ということで読んでみたのだが、「2ちゃんねる」に限らず、最近の「繋がっている」ことを重視するコミュニケーション様式についての論考として面白かった。簡単に議論を紹介すると、80年代の日本のマス…

仲俣暁生「極西文学論序説 (3)」(群像2003年11月号)

今回は、「旅行」→「その準備・装備」→「『バトル・ロワイアル』と『死のロングウォーク』」→「スティーヴィン・キングと村上春樹にとっての「恐怖」」→「現代日本作家(主に星野智幸作品)にとっての「日本」」→「森」、という流れの中で、「極西」という言…

大塚英志「スターバックス文学論(なんだか)」小説TRIPPER 2003年秋号

また例によってわざと物議を醸すような書き方をしているが、提示されているのは興味深い問題ではある。'80年代文学で行われていた方法、例えば商品ブランドのような、時代に特有の「固有名」の羅列の中に人物を描くことジャンル違いの分野からの引用を多く行…

「現代思想 1982年8月号:特集=現代アメリカの思想」青土社

古い雑誌だが、個人的に「アメリカ」について考える上で重要な記事が載っているので紹介しておきたい(まあ、ネタ元みたいなものです)。当時まだ日本でもそれほど知られていなかったアメリカの思想家(と言っても、第2次世界大戦中にヨーロッパから亡命し…

仲俣暁生「極西文学論序説 (2)」(「群像」2003年10月号)

仲俣氏には『ポスト・ムラカミの日本文学』(ISBN:4255001618) という著書があるが、今回は明確に「村上春樹批判」である。批判点を抜き出すと次のような感じになるだろうか。 村上春樹は「アメリカ」を、自分自身を「個」として確立するための点として必要と…

仲俣暁生「極西文学論序説」(群像2003年9月号)

「見下ろす視線(神の視線)」と「見上げる視線(我々の視線)」を文学作品、評論の実例から論じ、それを「極東(与えられた私たちの位置)」と「極西(私たちの位置の別の可能性)」に重ねる試み、なのかな(まだ連載中なのでハッキリしない)。両者の比較…

大塚英志「文学自動製作機械」(群像2003年9月号)

なんだか妙なテキストである。要するに、「最近、既存作品のサンプリングや構図を変換するだけで作品を仕上げてしまう作家がエンターテインメントの分野からかなり出てきているが、その中で「舞城王太郎」だけを「文学」として取り上げ、プッシュしている理…